「逃げるは恥だが、役に立つ」-倒れる前に逃げるためには

昨年のまつりさんの事件は同世代の人間として、そして同じハードワーク系の会社に務める身としてとてもショックだった。

なぜなら、彼女の置かれていた状況がほとんど自分にも当てはまるもので、あまりにも紙一重だったから。

私の場合鬱病での休職手前で手を打ったが単純に「逃げ方」をたまたま教えてもらったから。その時の経験を振り返る。

 

①「逃げ方」は、逃げたことがある人しか知らない

基本的に、会社での生活はラべリングがものをいう。

ハードワーク起因の体調不良、中でもメンタルヘルスでの休職はどんな過酷な状況があろうと「体調管理が出来ていない人」「扱いづらい人」というレッテルを張られる。

だからといって、倒れる前に対処をしようとしても、よっぽどの理解や政治力がないと根本的に解決しない。

(リソースの足りない職場だと、そのまま働けるのなら働かせた方が良いので「倒れていないから大丈夫でしょ、怠けるなよ」的な扱いを受けるし、基本的に理解がないと思っていた方が良い。)

その時相談するのは、産業医ではなく(※後述)、違う部署でもいいので休職した経験のある人もしくは社外の心療内科医師が良い。

制度を実際使ったことがある人しか、その有用な使い方や戻り方は知らないし、

あるいは会社のことをしらない第三者の客観的な視点から、「お前の会社の状況やばいよ」「お前の状態やばいよ」と言ってもらうと、現在地を理解することができる。

※疲れ切っている状態だと、正確な判断が出来なくなっているため「怠けるなよ」的な方針を受け入れてしまいがちかもしれないが、ここは勇気を持ってはむかった方が良い。会社は自分の人生に責任を持ってはくれないし、そもそも自分以外だれも、自分の命に責任はとれない。自分の人生を守るのは自分だ。

 

産業医は基本的に会社の味方。見極めるべし

ここは勘違いしてはいけない。基本的に、産業医は会社の一員であるため、「会社にとってベストな状態」に持っていくことが仕事。

つまり、ちょっと見てやばそうな場合、無理に休職をすすめたり、もしくは管理下に置こうとしたり。診断書をとってこいと指示したりする場合もある。特に電通事件以降の

過剰労働に厳しい昨今だと。

話し合いによってベストな状況を作るために一緒に考えてくれる人は基本的にいないと考えた方が良いと個人的には思った。(そうするインセンティブや権限もないしね)

職場以外の人に、「自分の状況の理解」を求めて頼ると、よりえぐられる言葉が返ってくることもあるので、産業医がどのような目的で言葉を発しているかは敏感にキャッチする必要があるし、「自分が望む状況」に至るために(それは人によって、休むことかもしれないし、いまの仕事量をセーブして働き続けることかもしれないし)使うくらいの意気込みで臨んだ方が良い。

 

③自分を守るために環境が原因なら変える手段を模索する

基本的に、組織があるのは仕組みで価値を担保するため。

「今の仕事は私しかできないから休めない」ということは、あってはならないこと。

体調不良が現在の組織環境によるものであり、そこに自分で意義が見いだせないから

(ここで頑張って、将来独立するなど)環境を変えるのも手である。

その時に注意するのが、「理解のある上司」にそのことを伝えること。

選定を間違えると、全力で人格否定されたり、役に立たない実効性の乏しいアドバイスだけをもらって、周囲を固められたりとむしろ妨害工作をされるため、気を付けた方がいい。

もしそのような上司がいないのなら、外部の心療内科の先生と相談して診断書を出してもらい、それを盾に人事と交渉するのも手である。

心療内科についてこようとする上司や人事もいるらしいが、結果をコントロールされることを避けるためにも、最初は個人もしくは家族などで受診した方が良い。

 

④自分がストレスを感じやすい環境・条件について内省して対策を考える

最後に、それ以降の自分とストレスとの付き合い方について考えるため、内省はとても重要。(反省ではない)

自分の成功体験、失敗体験や一番ストレスが悪化した環境をとらえて書くと、

どのような条件が重なるとき、自分がストレスを抱えやすいのかが分かりやすい。

※私の場合、ストレスが悪化したのが下記のような職場状況が起因していた 

 ①多数の人の折衝が随時ある ②ルーティン作業が少ない割に、突発的な業務が多い

 という職場条件にあわせて、

 ③突発的な出張が頻繁に入る(=身体的な疲労がたまりやすい)

 ④自分と同じ立場の職種の人が職場内にいない(=精神的に孤立する)

 ⑤上司が多忙であまりいない(=理解者がいない)

 ⑥個人的なスキル不足(=対処できない場面に遭遇することが多い)

「何があったから/なかったからそのような状況に陥った」

「逆に、何があればそのような状況には陥らないか」を内省しておくことは、

休むにしろ休まないにしろ、次同じことを起こさない環境を作るために交渉するときの材料になる。

 

あくまで健康が一番にあって、継続的な成果をだすことができる。

健康を害するような職場であれば、一時的に逃げることが恥ではあっても、そのことが後々の人生を助けることになる。